とりあえず、去年のオリジナルコピー誌が販売数○部だったことに反省して今回は人並みに売れる物を作ろうと決心をする。


同人活動をするに当たって正直なところはオリジナルで勝負したかったのですが、それは版権物と比べて多くの人の手に持たれることはないでしょう。売れないのならそれは単なる独りよがりになってしまいます。売れるだろう版権物とあまり売れないだろう完全オリジナル。
このあたりで発生する葛藤は当初からあったのですが、今回版権物をやってみてその考えも少し変わりました。やはり同じゲームが好きな人と知り合えたというのはすごく嬉しいことだったからです。
前書きはその辺りにして本分行ってみましょう


◆◆初めてのオフセット(頼れるものは何も無し)◆◆


1.申し込み時点で必要なことを決めよう。

○ジャンル
○エロ、ノンエロ
○ページ配分
○目標販売部数

 ジャンルについてはT2がフリクリ、青の6号、mafiがKEY、リーフ系を推しました。そこで過去のカタログを開いてみて規模を予想してみました。フリクリはショタ系で青6号は数が少ないし、この二つはコンテンツとして弱すぎる気がします。一方、KEY、リーフと言えばコミケじゃ王道の王道。集客力があるのだが倍率が高くて落選の可能性があります。
 というわけでメンバー全体で何度か投票をして「うたわれるもの」に決定しました。ちなみにこの時点でまだ未発売ソフト。(販売している時にどうしてこう「うたわれるもの」ブースが少ないのだろうと思うとそれが原因だったのでしょう。)というわけで発売、プレイ、原稿、入稿とスケジュールが圧縮されことも予想しましたが「まーなんとかなるだろー」の一言で申請を済ませることにしました。
 持ち込み部数は100に設定。これ以上は怖くて刷れないです。
 ちなみに利益を出すなら200部以上は刷らならいと難しいかもしれません。当然、在庫も出てきますが知り合いは根気よく売っているそうです。

2.待つ

○印刷所の決定
○書式の統一

 申請をしてからはこれといってすることははなかったです。何しろゲーム自体が出てはいないのでネタも考えることが出来ません。メンバーに「単位をとれ」と言いつつ、(〆切と期末試験が重なる)印刷所の吟味をゆっくりと始めていました。
 一応知り合いからお勧めの印刷所を聞いていたのですが、データ入稿が希望だったのでネットでいくつか調べていくつかに絞り込んでいきました。最終的にはお気に入りの同人誌をかき集めて奥付から印刷所を調べるという手法を使い「大陽出版」を選びました。
 この出版社、データ入稿は割高だけどわりと同人誌の出版を手がけているらしくコミケではよくこの会社のダンボールを見かけます。やはり最初は大きな会社に頼むべきである。
 印刷会社が決まるとあとは入稿の詳細を熟読して熟読するのである。解らない単語がいくつもあります。例えば、ノンブル、トンボ、塗り足し、等々は理解しておかないとならない。書式等も600dpiに統一し、それをメンバーに連絡してある程度慣れて貰おう。
 データ入稿について。データ入稿というと聞こえはいいけど、かなりのマシンスペックを要します。スペックでもっとも劣るT2でさえDuron800 メモリは640MB程度の物を使っています。やはりハイエンドなマシンが欲しいところです。印刷所に出すにはそれだけ巨大なデータが必要なのです。(1枚30MB程)

3.当落が来た

○当選
○スケジュールの詰め

 当選!しかも大変な席だ。通称「お誕生日席」、初参加でこんな場所を・・・喜びの反面プレッシャーがかかる。ともかく、当選した以上、本が出せる。すぐに細かいスケジュールの詰めに入った。表紙、本文、裏表紙の割り当てをする。今後の個人活動をみこして広く割り当て、本文はそれぞれの力量に応じて分配をした。後日談だが、実に適当に分配したため割り当てページ内の構成が取りにくいとクレームが付いた。そういうことも考えないといけないなと反省。
 あとはスケジュールの決定である。入稿限界から遡って〆切、仮原稿の締切と決めていく。今回は合同誌で初めてのオフセットであるために仮原稿を貰って構成を確認するという仕組みを作った。ちなみにこの仕組みも〆切数日前にページ数が変動したためにほとんど意味をなさなくなってしまった。割り振ったページの増減は極力避けよう。

4.原稿のやりとり

○こまめに連絡を取ろう。
○方針をすりあわせる。
○1冊の本として構成を考えて

 合同誌、6人で協力して作り上げる物だが岡山、大阪、東京、と全員の居住地が違ってきています。期間中ほとんど会うことがないので連絡は電話、メール、郵送となる。金に糸目は付けずに連絡しよう。郵便は速達が当たり前です普通なんていつ届くかわかりゃしない。速達はすばらしく早く着きます。catpのお勧め。
    ◇速達はすばらしい。
 同じ分野で原稿を描くと言っても何でも言い訳ではないです。ギャグとシリアスが同居しているのもなんだし、原作の雰囲気を大事にするか、ぶち壊しにするかというのも統一できるならした方がいいでしょう。特に表紙は同人誌の顔であり重要なこともあって、もめにもめました。合同誌に合ったキャラとして「クーヤ」を選んだのだがこれが、「本文よりも表紙を先に決めるべきではない」とか「表紙に本文が引きずられている」という批判がいくつか。「じゃあクーヤ以外で決めてみよう」となると全員の希望キャラが見事に違う。全員で表紙を行くかというと、T2から「無理、落ち着かないよ。」と指摘される。結局八方ふさがりで押し切ったというのも後日談です。 という右往左往しながら決まったことは
    ◇原作の雰囲気を大事にしよう。
    ◇ギャグ路線で。
    ◇表紙のクーヤにこだわることはない。
ということです。
 あと大事なものに構成がある。基本的に雑誌という物は左から始まって右に終わる。同人誌も似たような物だが話の合間には後書きや挿し絵が入ったりするものが多い。僕もその形が安定していると思って出来る限り勧めていたのが、これが一向にメンバーに伝わらずに何度も電話をしたのだがその甲斐もなく結局伝わらなかったと思う。今現在でも理解できているか怪しいくらい。要するに本文パートが5人もいるので、出来上がった本を読みやすいように構成したいと。このあたりはすごいこだわっていたのだけど・・・。自分のページが右なのか左なのかで寄せが変わってくるのでやはり構成はしっかりした方が良いです。
    ◇一冊の本として構成を考えよう。

5.〆切

○破ると大変なことになります。

 〆切は数日前に設定して、メンバーから届いた原稿の調整をかけてから営業所に持ち込むという予定でした。なにしろ主力が〆切を破ると思わぬ誤算から始まりドミノのように表紙、メンバーの調整、まで波及し最終的に2日遅れ2割り増し、愛知まで持ち込みという絵に描いたような最悪のケースに。これは送られてきた原稿が微妙にフォーマットが違ったり出来てなかったりと他の要因もあったわけですが・・・
    ◇頼むから〆切を守って。
    ◇メンバー用の原稿も細かいところまで入稿状態にしよう。
 入稿が終わればあとは印刷屋が意外とすんなりと合わせてくれます。印刷屋は偉大です。

6.出店の準備

○ディスプレイ用品を買おう。
○お釣りを用意

 入稿が終わると本当に一息つけます。これはもうやった人しかわからない一時の優越感、夜景を見ながらグラスを傾ける・・くらいのゆっくりとした時間の流れがありますね。心情的に。で、あとは出店をにらんでディスプレイ用品を買いに行きます。目を閉じて自分のブースを想像して必要な物を上げていきます。値札、棚、本を立てかけるイーゼル・・思ったよりも少ないけど。100円ショップを回っているとたいていの物は手に入ります。意外とコミケ内でも売っていて土壇場でそろえた物もあります。やっぱり単に机に平積みしているのは目を引きません。あと、テーブルクロスは意外と必要です。
 道具を買ったら、お釣りを両替に行きましょう。土日にならないように早めにしましょう。今回は500円を100部ほど売る予定で行きます。となると全員が1000円で買いに来たとして5万円分の500円玉を持っていこう。ここに来てお釣りという出費も馬鹿にならない。銀行で大量の500円玉を確保しました。小銭は100円ショップで収納ユニットを売っていたのでその中に入れます。問題はお札。銀行で奪ってきた大量の封筒を札ごとに分けて入れることにしました。ちなみに1万円は来ないと言う前提です。来ると非常に困る。「本をあげて帰そうか」なんてことを考えつつ当日を迎えました。
 結果を言うと、1000円と500円玉が半々程度で来て手持ちの500円玉がそれほど減ることはなかったです。万券が一人。開場からまもなくと言うこともありましたが、やはりそれはすごく困ることでとりあえず自分の財布から9千円を出して返しました。(やはり、そのことがあとで売り上げ精算の時にちょっと苦労することになりました)正確ではないにしろメモに売り上げをチェックしていたのは幸いで、これも売り子になられるならお勧めしておきます。
    ◇万券にはやはり困る。
 知り合いのサークルは初期に万券が2枚来てかなりピンチだったそうです。500円玉で払ったとか。やはりなるべく万券は避けましょう。


7.搬入?

○直接搬入
 搬入についても全く知識がないので改めて調べてみました。印刷屋の直接搬入と前日搬入、宅急便、手持ち、といくつかあるようなのですがこの辺りで混乱。印刷屋の直接搬入は当日行くと机の下に置いてあると聞いたのですが、個人的に「そんなうまい話あるかよ。」ということで前日になって一人焦ってました。別にどうと言うこともなく当日になるとやはり机の下に置いてありました。感動とともに「印刷屋すげぇ」と心底感謝しました。
 机の上の大量のチラシをどけて、テーブルクロスを引いて本を乗せていく。初めての自分の本。製本を見るのは初めて。怖くて見られないけど見なくてはならない。落丁がないのを確認すると机の上に重ねていきます。段々と高くなる本の束。「高過ぎだろ・・」隣を見てはっと自分の異常さに気付く。100部でタワーを作ってはいけませんね。控えめに本を置きましょう。というか周りを参考に丁寧な作りでね。
 本を重ねて、見本誌を飾る。巡回してくる準備会に一冊提出して手続きも終了。あとは座ってすることもなく呆ける。あ、ちゃんと隣に挨拶はしましょう。互いの本を交換して完了と。でも結局はすることもなく呆けるだけ。意外と時間あります。ていうか暇。シャッターが開く開かないと言うチケット入場組の話は置いといて、売り子ってこんなものです。
    ◇ディスプレイは周りを参考に。
    ◇見栄えの違いは気合いの違い!

8.売る・・

○最初は売れないです。
○接客です。

 開場の拍手。そして座る。目の前では足早に人が走っていく。大手と壁ねらい。座っていて切ないです。だが、意外と早く事態は動いた。忘れもしない10時8分。最初の1冊が売れた。おそらく席に恵まれていたからだろう。おそらく中堅−お誕生日席ねらいの人と分析する。何はともあれ最初の客です。丁寧に丁寧に対応しました。隣にも客が立ち寄ります。やはりエロは強いなー。僕のサークルはノンエロでやっているのだが、こうぱっと見本誌を手に取って数秒で置いていく人はやはりエロ目当てなのでしょう。僕も同じ事をやります。台詞をつけるなら「ちっ!」といった感じです。見本誌を読んで貰って時々買って貰う。しばらくはこんな感じだった。
 それが狂ったのは友人が来てからだった。その友人に売り子を手伝って貰ったのだがこいつがお客にトークを展開してややこしいことに。「なんてことしやがる」と思ったがこれが功を奏したのか客が買ってくれた。偶然だろうと思っていたがやはり彼の会話で「買って貰う率」が確実にUPしている。会話のノリが天才的に巧いとはいえ、この場所で通用するなど思いもしなかった。会話というのは「どうですか調子は?」「暑いですけどみんな頑張ってますねー」って感じ。ともかく、要は台詞じゃなくて結果である。「売れる」、この一言が僕を狂わせた。「売る、一部でも多く」それがスパイラルの始まりだった。
 後半、呼び込みこそ大声でやらなかったが、立ち寄った客には話しかける。買ってくれたら「ありがとうございました」の連呼。客苦笑い。しかし、それでも買ってくれるのだ。となるとさらに悪ノリしてしまう。もはやこの時点で正式メンバーからは見捨てられ、雇った売り子と体育会系のサークルに変わってしまい。迷惑ぎりぎりの声量が・・・準備会のスタッフが笑っていたとか。笑いで済んだから良かったものの。後々反省しました。規約にも大声でやっちゃいけないとか書いていたんだよね。みんなも気をつけようね。いやさ、客のウケも良いんだよホント、それでつい・・ね。ふぅ。というわけで後半はもうそんな感じでした。
 で、そんな努力も実り60部以上売りました!
 買ってくれた皆様、有り難うございました。感謝を込めて。

 初参加お誕生日席でも60部ほど売れました。周りから見ると大成功でしょうが、数十万人もくるイベントということで考えていたのでちょっと物足りなさもありますね。やっぱ大手とか有名サークルにならないと「完売」という札は立てられないんだなぁと感じたり。コミケに来てくれる人は来てくれる人は企業とか大手だけじゃなくて小さいサークルも回ってくれると嬉しいです。同人という名の通り、コミケの本分の一つはそう言うところでもあるんだなと感じました。作る側になって、実際に販売して、買いに来てくれた人と直に話してみて、沢山の事を勉強しました。もし、これを読んでいて同人誌を作ろうという人がいたなら是非作ってみてください。思い出と共に、きっと多くのものが得られると思います。

でわまた、いつかどこかのイベントで・・・